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デザイン業界でよく耳にするアフォーダンスという概念。本来は実体を伴うものや環境についてのみ使われる言葉ですが、デザイナーとして理解しておきたい概念です。
アフォーダンスを理解して、まるでAppleが作ったかのような説明がいらないデザインを目指しましょう。

アフォーダンスとは?

アフォーダンスについては多くの書籍やサイトで解説されています。
どれも難しい言い回しだったので。ものや環境が「私のことはこう使うんですよ」と教えてくれている状況と、自分なりに噛み砕いて理解しています。

説明されなくても、イスを見れば座れると判断できますし、背もたれがあれば寄りかかれると分かります。
最近の映画館では、座席に付いた肘置きの先に丸い筒状のくぼみがあります。誰に説明されなくても、飲み物の入ったカップをそこに入れるでしょう。

これはイス、背もたれ、ドリンクホルダーが、その形状や材質から「私に座ることができますよ」「寄りかかることができますよ」「カップを入れることができますよ」と人に伝えているからです。

また、ものや環境は本来の目的とは異なる使い方を伝えてくる場合があります。
ガードレールに腰掛けたことはありませんか?座るという行為はガードレール本来の目的ではありませんが、腰掛けた経験がある人も多いと思います。
ガードレールは高さ、形、強度などから「私は腰掛けることもできますよ」と伝えているのです。



なぜ行動したのか?
生活の中にアフォーダンスを見つけよう

イスやドリンクホルダー、ガードレール以外にも、ありとあらゆるものがアフォーダンスを持っています。私たちは日々それらに影響され、多くは無意識のうちに行動しています。

「なぜゴミ箱だと分かったのだろう?」「なぜこのボタンを押せると分かったのだろう?」「なぜ土の上ではなく、石畳を通ったのだろう?」など。これらはものや環境が持つアフォーダンスを受けて、無意識のうちに行動した結果です。

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この無意識にとった行動の原因を、いつも意識してみましょう。人がどのような情報をもとにどういった行動をとるのか見えてくると思います。これまで気づいていなかった様々な発見があって、結構楽しいです。

アフォーダンスによる無意識の行動を探り、解読できたら、グラフィックデザインやWEBデザインなどの平面のデザインにも役立つかもしれません。

無意識に行動させられた原因をメタファーとして利用するのも効果的でしょう。パソコンに使われているゴミ箱のアイコンや、WEBサイトで見られるちょっと立体的なボタンなどがその一例です。

ものや環境のアフォーダンスと、その意図された機能が一致するとき、デザインは最も効率性を発揮し、使いやすくなります。つまり「説明がいらないデザイン」です。まるでiphoneやiOSなどに代表されるAppleのデザインのようですね。

アフォーダンス。デザイナーなら知っておいて損はありません。

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