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慣らされたものの見方から脱却し、自由なイメージを広げるために情報の「変換」を使ってみましょう。

私たちは普段、情報を「変換」しながら生活しています。文字や伝聞、美術、音楽などから受ける「コード」をイメージに変換することで、感じたり、理解したりしています。

変換という作業を意図的に行い、ビジュアル表現の方法として試してみることで、これまで見たことがないような作品が生まれる可能性があります。

ちょっとアーティスティックな内容で、そのまま商用のデザインには使いづらいかもしれません。
それでも知っておいて損はない方法なので、まとめてみました。



情報をビジュアルに変換する、いくつかの方法

情報を変換して表現する方法はいくらでもあります。全て紹介するのは難しいので、思いついたものをざっくり2つに分類して紹介します。

これから紹介する2つの分類が、「変換」という表現方法の代表的なものってわけではありません。ここで紹介した方法がヒントになって、みなさんのイマジネーションが膨らめばいいなって思っています。

見えない情報を視覚化する

目には見えない情報を視覚化した作品では、杉浦康平さんの「時間地図」が有名ではないでしょうか。中心地点からの距離を、最短で移動できる時間で変換した地図です。日本列島の歪みが各地域への交通の便利さや不便さを表現しています。

イギリスのマーチン・デイド・ロバートソンさんは、ウェブサイトをマッピングして美しいアート作品を生み出しています。サイトのデータを処理して、その情報から画像を作り出すのだそうです。
幻想的でとても美しい作品です。

他にも「数理模型」なんてものもあります。商業施設KITTEにある「インターメディアテク」で展示されている数理模型は、いつまでも見ていられる魅力を持っています。
インターメディアテクには無料で入れますので、お時間があるときに遊びに行ってはいかがでしょう?数理模型以外にもインスピレーションが働きそうな展示がたくさんありますよ。

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光や音に変換する

少し前にHondaが作った動画があります。「Sound of Honda」のタイトルから始まるこの動画は、アイルトン・セナが1989年のF1予選で記録した鈴鹿サーキットでの世界最速ラップを、当時の走行データをもとに光と音に変換したものです。

この動画、メチャクチャかっこいいです。「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」にてグランプリを受賞した他、国内外で高い評価を得ています。

また、ベルギーのミネラルウォーターブランドによる作品では、雨の降る様子が光と音に変換され、森をスクリーンにしたプロジェクションマッピングで表現されています。
WEBで見ることができます。とても美しくい作品ですので、ご覧になってみてはいかがでしょう?

この他にも、LEDを身につけてのダンスパフォーマンスや、ライトで描くペンライトアートなども、人間の動きを光に変換した一例ではないかと思います。

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まとめ

情報を変換して表現する方法は、切り口・視点によって可能性が無限に広がります。
どんな情報を変換すれば魅力的なビジュアルができるのか、考えてみるだけでも良い刺激になります。

情報を変換して生まれる美しいビジュアルは、ちょっとアートに偏りすぎていて、そのまま商用のデザインに流用するのは難しいかもしれません。それでも、これからのデザインにはアートからのアプローチも大切になってくると思うので、「変換」を利用して表現する方法をまとめてみました。

情報をビジュアル化する際には難しい専門的な知識が必要になりますが、デザインやビジュアルは一人で作り上げるものではありません。優秀な専門家の力を借りていいのです。
カメラマンさんやライターさんの力を借りるように、これからはプログラマーさんや光や音のプロフェッショナルの力を借りる日が来るのではないでしょうか。

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