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企業や商品のブランドが育ってくると、「△△らしいね」とか「◯◯っぽいなぁ」なんて声を耳にするようになります。この「らしさ」や「ぽさ」を明文化したものがブランドパーソナリティ。

企業や商品に「人」としての性格を設定し、それを明文化することでブランドパーソナリティは生まれます。
ブランドパーソナリティはデザインのコンセプト設定やビジュアル計画にも大きな影響やヒントを与えます。

デザイナーが勝手にブランドパーソナリティを決めていいわけではありませんが、しっかり定まっていなかったり、まだ考えられていない場合はチャンスです。
クリエイターとしてブランドパーソナリティを含めた提案をしてみませんか?

バシッと決まれば、クライアントや社内からの信頼や評価は高まり、より上流工程の仕事に携わる機会が増えていきます。



ブランドパーソナリティの設定方法

同業他社や競合商品など、ライバルは似たような性格を持ち、ひしめき合っています。取り扱うのが同じような商品・サービスなら、しかたないですよね。
ここからいかに抜けだして、個性的な性格を与えられるかが重要になってきます。

ブランドパーソナリティは、軸を使って区分すると整理しやすく、ライバルとの差異も容易に俯瞰できます。いわゆるマトリクスってやつです。

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重要になってくるのは軸の見つけ方。比較の話でも触れましたが、視点や角度を変えていかに有利な軸を見つけられるかがポイントとなります。

シンプル-複雑、モノトーン-カラフル、美しい-力強い、かっこいい-かわいい、ポップ-上品、伝統的-現代的、陽気-真面目、現実的-理想的など。
軸となりそうな要素はいくらでもありますが、これまでそのカテゴリーでは使われていなかった軸を見つけられると最高です。

例えばスターバックスには「上質」や「都会的」といったら「らしさ」があります。それまでの日本のコーヒーチェーンにはなかった性格です。
スタバがあるかないかで、都会か田舎か判断されてしまうことすらありますよね?

軸は3つ以上でもかまいませんし、対義語になっている必要性もありません。ライバルがひしめくエリアと離れられ、かつ有利に働く軸を見つけましょう。
軸を見つけるというより、新たな軸を生み出した方が、より個性的な性格を持たせることができそうです。

あくまで「人」の性格としてブランドパーソナリティを考えることが大切。よく「あの人はそんなことしないよ」とか、「アイツならやりかねない」なんて言いますよね?
その感覚で企業や商品の性格を設定しましょう。「彼(または彼女)は伝統的なものを好むが古臭いわけではなく、おしゃれで個性的」と言った具合です。

ブランドパーソナリティを利用してコミュニケーションに統一感を持たせる

ブランドパーソナリティはライバルとは差別化された個性を持たせることができるとともに、コミュニケーションに統一感や一貫性を持たせることも可能です。

例えばAppleには、「ミニマル、直感的、カジュアル、フレンドリー、人間的」といった「らしさ」があり、それが商品はもちろん、梱包方法、ストアの設計や接客、CMやWEBサイトにいたるまで全てに統一されていて、私たちはいつでもAppleらしい商品とサービスを体験することができます。

ブランドパーソナリティにより様々なコミュニケーションツールに統一感を持たせられるのは、デザインする際に「こんなテイストの文章が合っている」、「イラストならばこんなタッチ」、「写真はこんな雰囲気」といった具合に、表現をブレることなく選択・確認することができるためです。

ブランドパーソナリティをはじめ、ブランディングについての基本的なことは安原智樹さんの「ブランディングの基本 この1冊ですべてわかる」で、より詳しく学ぶことができます。
デザイナー向けの本ではないですが、参考になる部分が多くあります。

まとめ

ライバルとの差別化が図られた個性的なブランドパーソナリティは、デザインのコンセプト設定やビジュアル表現のヒントになるはず。

ブランドパーソナリティの設定は本来デザイナーの業務ではないですが、きちんと考えられるデザイナーには上流工程の仕事も自然と集まってきます。
企画職や提案力をアピールして、良いデザイナーから良いディレクターへステップアップていきましょう!

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