良いアイデアが浮かばない、だけど締切の時間だけは刻々と近づいてくる。ものすごいストレスですよね。
アイデアが生まれるプロセスをひとつでも知っていたら、アイデア出しが少し楽になるかもしれません。

アメリカ最大の広告代理店J・ウォルター・トムプソンで副社長を務めた広告界の大物、ジェームス・ウェブ・ヤング。彼の著書「アイデアのつくり方」に、アイデアが生まれるプロセスが書かれていたのでご紹介します。



アイデアを生み出す5つのステップ

ジェームス・ウェブ・ヤングによると、アイデアを生み出すプロセスはたったの5つ。ひとつずつ順を追って確認してみます。そう難しいことではなさそうです。

1.情報の収集

アイデアを生み出すための最初のステップは情報の収集。情報の収集はアイデア出しの基本中の基本とも言えます。ここで大切になってくるのが「特殊資料」と「一般資料」という考え方。

特殊資料とは、その案件に直接関係する情報のこと。クライアントやライバル企業についての情報や、商品・サービスについての情報や競合商品についての情報。市場や消費者の情報などを含みます。

一方の一般資料は、世の中にある全ての情報のこと。歴史や芸術、世代や性別による好みの違い、地域や年収別のライフスタイル、人間工学的な内容から心理学など、ありとあらゆる情報が一般資料となります。

ヤングはアイデアを「既存の要素同士の新しい組み合わせ」と定義しています。とにかく多くの情報を集めましょう。収集した「特殊資料」と「一般資料」が組み合わさることで、良いアイデアが生まれる可能性がぐっと高くなります。

あらゆる情報をより多く集めることがベストですが、そんな時間がない場合もあるかと思います。過去に効率的に情報を集めるのに役立ちそうな記事がありますので、ご活用ください。

2.資料の咀嚼

2つ目のステップは資料の咀嚼(そしゃく)です。集めた情報を分類したり、比較したり、視点を変えたり、変換したりして、様々な角度から検証します。情報を集めただけで終わらせず、噛み砕いて理解して、頭の中で整理しましょう。

ここで大切なのが、情報を整理して見えてきたことを全て列挙すること。思いついたことの精度や良し悪しは抜きにして、全ての方向性と可能性を残したまま選択肢を増やします。

※もしあたながディレクターという立場なら、このステップで思いついたことを全て部下やデザイナーに丸投げしてしまうとこはやめましょう。的確に方向性を指し示してこそディレクターです。

情報の検証や整理に必要になりそうな方法は、過去の記事でもいくつか紹介しています。ご活用ください。

3.問題の放棄

情報を集めるだけ集めて、徹底的に検証したら、問題を放棄します。

放棄するって、ビックリしますよね?でも、無責任に投げ出してしまえってことではありません。アイデアの種を「あたため」ている状態です。

アイデアは脳で生まれます。脳が疲れていては、そのポテンシャルを100%引き出すことはできません。もし時間があれば睡眠をとってはどうでしょうか。学習結果をテストするまでの間に睡眠をとると、結果が大きく向上するそうです。

自分の脳を信じて、問題を放棄してみましょう。



4.ひらめき

4つ目のステップは、待ちに待ったひらめきです。問題を放棄して無意識での脳の活動に任せておくと、ふとした瞬間にアイデアがひらめきます。

ここで大切になるのが、脳をリラックスさせておくこと。また、ひらめきやすい環境に身を置くことです。ひらめきやすい環境とは、既に紹介した「5つのB」がオススメ。

5つのBとは、Bar(バー)、Bathroom(バスルーム)、Bus(乗り物のバス)、Bed(ベッド)、Bookstore(本屋)のこと。リラックスできる空間で心地よいひとときを過ごせば、きっと良いアイデアがひらめくはずです。

5.アイデアの検証

ひらめいたアイデアが本当に課題や問題を解決できるものかどうか、しっかり検証しましょう。
アイデアを検証するのに便利な方法は、誰かにアイデアを話すことです。

誰かに話すとき、自分のアイデアを声を通して耳で聞くことで、そのアイデアを客観的に検証・分析することができます。口に出して誰かに話すことは大切なことなのです。

誰かに話してみて、上手く伝わらなかったり、即座に質問に答えられない場合は、まだまだアイデアが練られていないということ。もう少し深く掘り下げても良いかもしれません。

話す相手がすんなり納得できるようになるまで、相手からの質問にしっかりと答えられるようになるまで、アイデアをしっかり検証しましょう。

ジェームス・ウェブ・ヤングによるアイデアを生み出す5つのプロセスは、あくまで数ある手法のひとつです。
これからもアイデアを生み出すための方法やヒントをたくさん紹介してくつもりです。みなさんが自分にあった手法が見つかれば幸いです。

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