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デザイナーにとって質問する能力はとても大切です。言われたことだけ忠実にこなすのはオペレーターだし、デザイナーとしての仕事をしたいならこちらから聞かなきゃ分からないことも多いはず。始めにしっかり話を聞いておけば、アイデアが大幅にズレてしまう可能性を低くできます。

効果的な質問をしよう

クライアントへの質問次第でデザインやコンセプトの良し悪しは決まってきます。どんな質問をするべきか知っているだけでは不十分です。なぜその質問をするのか、しっかり理解しておきましょう。漠然と質問をすればいい訳ではありません。しっかり的を得た質問をすることが大切です。
クライアントにすべき質問をいくつか紹介します。もちろん、これ以外にも聞いておくべき質問はたくさんあります。その都度いろいろ追加して臨機応変に質問しましょう。



どんな会社ですか? どんな製品・サービスですか?

会社のイメージや知名度(世間では知られていなくても業界ではかなり有名なんて会社も結構あります)、業界での地位、製品・サービスの種類、販売経路、価格帯など、会社や製品・サービスについての大まかな情報を聞き出しましょう。

この質問では全体を把握することが主な目的ですが、クライアントから聞き出した答えが事前に収集した情報と合致しているか確認できます。
実際、聞いてみたら高級なイメージを売り出したい会社なのに、事前に調べておいたWEBサイトからは全く高級感を感じ取れなかったこともあります。

この質問が根本からデザインを変えるキッカケになるかもしれません。

製品・サービスの強みやこだわりは何ですか?

取り扱っている製品・サービスに他社にない強みがあるか聞いてみます。
製品・サービスに独自性があれば最高です。無かったらこれまで何を差別化して製品やサービスを売ってきたのか質問ましょう。

これまでどうやって製品・サービスを差別化してきたのか?それで結果はどうなのか?きちんと確認します。
これまでの方向性を引き継ぐべきか、ガラッと変えてしまうか。何を売りにしてどう差別化していくか、デザインやコンセプトの方向性が見えてくるかもしれません。

この案件の目的・目標は何ですか?

製品・サービスを売りたいのか、WEBや店舗などに誘導したいのか、知名度を上げたいのか・・・。その案件の目的や目標をはっきり聞いておきましょう。
また、これまでのデザインを引き継ぐのか、ゼロから作り直すのかなど、クライアントがデザイナーに求めていることもはっきりさせておきます。

目的や目標を達成するためにどうするべきか、しっかり根底から考えて課題の解決に臨みます。必要であればプラスアルファの提案を行ってみてはどうでしょうか?

ターゲット層・理想の顧客像は誰ですか?

ターゲット層や理想の顧客像を明確にしましょう。質問によりターゲットが分かったら、その層がどのような集団なのか、先入観を持たずに自ら調査します。

質問の結果、ターゲットがシニア層と分かったからといって「年配の方が好むような地味なデザインにすればいいや」などと、ろくに調べもせずにデザインするのはやめた方がいいでしょう。

以前、シニア層のマーケティングに関する書籍を読んだことがあります。そこには「今のシニア層は老人扱いされることを嫌う」と書かれていました。先入観から、いわゆるお年寄りが好みそうなデザインをしてしまうと、ターゲットに刺さらないデザインになってしまいます。

競争相手は誰ですか?

製品・サービスの競争相手についてもしっかりと聞きましょう。競争相手を知ることで、クライアントが目指している方向が見えてくるかもしれません。

製品・サービスのライバル関係も含めて、クライアントを取り巻く環境や業界の動向なども聞いておくと良いと思います。クライアントを取り巻く環境や業界の動向についての情報は、ネットで調べても出てこないことも多くあります。

直接競合する製品・サービス以外にも、ライバルになりそうなものがないか自分でも調べてみましょう。
同じ商品ではなくてもライバル関係になることがあります。

野菜ジュースのライバルは野菜ジュースだけではありません。健康意識が高い層では、コーラやお茶などのトクホ商品もライバルになります。コンビニでお弁当やサンドイッチと一緒に野菜ジュースを買っていたサラリーマン層では、コンビニコーヒーがライバル。手軽に野菜を採りたい層に向けてはカット野菜もライバルになります。

仮説をぶつけてみる

クライアントへの質問には、仮説をぶつけて答えを探る方法もあります。

それまでの一般的な質問の結果、ターゲットがファミリー層であることが分かったとします。ですが、ひと言でファミリー層と言っても実体はさまざま。子どもの人数や年齢、所得、居住地域など、いくつもの分類が考えられます。自分なりの仮説を立てて質問してみましょう。

例えば「理想の顧客層として狙っているのは、都会に住んでいて小さな子どもがいる少し裕福な所得層のファミリーですか?」といった具合に。
仮説をぶつけてみれば、クライアントが考えていることがより明確に答えとして帰ってくるでしょう。本当は、郊外に住む小学生くらいの子どもがいる平均的な所得層のファミリー層を狙っているかもしれません。もしかすると、具体的な家族構成や収入までは考えていないかもしれません。

仮説をぶつけると情報がより明確になり、クライアントが気づいていなかったことが浮き彫りになることもあります。「たとえば、こういうことですよね?」や「こうした方がいいと思うんですが、どうですか?」などの仮説を立て、質問してみましょう。



まとめ

デザイナーには質問する力が大切です。会社や製品・サービスなどに対する質問から、仮説を立てて意見を聞く質問までさまざま。好奇心を持って効果的な質問しましょう。

効果的な質問をして密度の濃い情報を集められれば、より良いデザインやコンセプトを生み出すヒントになるはずです。

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